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2008年12月20日 (土)

カレッジの同窓会

私がケンブリッジ大学の博士課程に入学したのは、1997年10月のことだ。入学後十年を経て、ケンブリッジ大学留学中に所属していたセント・ジョンズ・カレッジ(St John's College)から、卒業生のための晩餐への招待を受けた。今年は、97/98/99年に入学した学部生と大学院生が招かれている。今回の英国滞在は、この日程にあわせてのものとなった。

午後、ロンドンからケンブリッジへ移動する。セント・ジョンズは、チューダー朝を開いた国王ヘンリー7世の母レディ・マーガレット・ボーフォート(Lady Margaret Beaufort)が設立し、使徒ヨハネ(Saint John, the Evangelist)に捧げたカレッジで、2011年には設立500周年を迎える。

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(カレッジ正門には使徒ヨハネの像、チューダー朝の紋章、そしてレディ・マーガレットを寓意する想像上の動物イェール(Yale)が掲げられる。)

訪問は、3月以来である。宿舎には、冬休みに入って在校生が退去したあとの寮室があてがわれた。荷物を下ろすと、早速行事が待っている。まず午後に、マスターズ・ロッジ(マスターすなわち学寮長の邸宅)でアット・ホームの時間があり、歓迎のお茶が振る舞われた。

マスターズ・ロッジは、学寮長の邸宅であると同時にカレッジの小規模な公式行事が行われる場所で、ケンブリッジを訪れる各国元首などVIPも多く訪問する。

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早速友人たちを見つけた。こちらは、大学院時代の同僚。中央の紳士は、カレッジの教官ではない。英国交通研究所の所長をリタイアしたあとケンブリッジの博士課程に入学した「後輩」(笑)である。もう一人は、同じホステルに住んでいたハウスメイトで、彼からはいろいろとインド料理を教わった。

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現在のマスター、ドブソン教授とも一枚。

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そして、所属していたボート部(The Lady Margaret Boat Club)の面々。

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左からクリストフ(考古学者で現在は一年の半分をシリアの遺跡で過ごす)、デイブ(数学者で、グーグルなどのIT企業を渡り歩いている)、アミール(やはりIT企業を渡り歩いて、今年サンフランシスコで検索連動型広告のソフトウェア会社を起業したばかり)。6年ぶりの再会だ。

お茶が終わると、カレッジの礼拝堂で夕方の礼拝。礼拝堂では、当時から牧師をつとめているダンカンとも再会した。冬休みに入っていたためセント・ジョンズが誇る聖歌隊の賛美歌はなかったが、今日の行事があることからダンカンは、古巣のカレッジで再会する友人たちがよくその旧交を温め、充実した時間を過ごせるようにと、特に祈ってくれていた。

さてタキシードに着替え、晩餐へと向かう。まずは、レセプションエリアで食前酒を。参加人数が多いことから、いつものロング・ギャラリーに加え、オールド・ライブラリーまで開放されていた。

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(オールド・ライブラリー)

ここでも旧友に再会。

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(左から)ポールは戦間期の英国の諜報・スパイ活動をテーマに博士号を取得した歴史学者で、卒業後はマッキンゼーなどでコンサルタントをしている。トーマスは物理学者で、この若さでもうローマ大学の正教授だ。有機素材のソーラーセルを研究しているとのこと。右端のマイケルは、ロンドンのシティで働くバンカーである。彼はケンブリッジで修士課程を終えたあと経済学の博士号を取るためオクスフォード大学に進んでいた。詳しく話を聞くと世界は狭いもので、その際に所属していたカレッジが、私がやはりオクスフォードでの在外研究中に10ヶ月間滞在していたハートフォード・カレッジだったのだ。というわけで、ひとしきりハートフォードの話題で盛り上がる。

合図の銅鑼が鳴り、卒業生たちは列を作ってダイニングホールへと入場する。このダイニングホールはカレッジの中でも最も古い部分で、450年以上前の姿を残している。出席者全員が静かに起立する中、最年長のフェロー(カレッジの教官)が神に捧げるラテン語の祈祷を読み上げる。祈祷の最後に全員が「アーメン」を唱和した一瞬のち、静粛は歓声で破れ宴は始まった。

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(テーブル・セッティング。林立するワイングラスの数に驚かされる。)

隣に座ったのは、ここで歴史の学士号を取ったジョン。卒業後、英国議会上院(the House of Lords)の付属図書館(国立国会図書館のようなものか)で司書をしている。ケント州にある実家からロンドン・ウェストミンスターまで通勤しているそうで、この国にも遠距離通勤が存在していることを知る。400年以上前からの公文書も保管しており、歴史家にとって大いに知的好奇心をそそられる職場らしい。

もう一方の隣に座ったのは、指揮者のレオ。ケンブリッジで音楽を学び、卒業後は王立音楽アカデミーに進学した。現在は、指揮者としていくつもの楽団で指揮している。九州交響楽団の指揮をしたりと、日本にもよく来ている。また別の機会に演奏会を開いたサントリーホールの設備を絶賛していた。

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女王に乾杯し、そしてカレッジに乾杯し、卒業生代表やマスターのスピーチを交えて賑やかな宴は続く。

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卒業後六年以上が経ち、かくもさまざまな人々がかくもさまざまなキャリアを歩んでいる。みな忙しい日々を送っているが、今宵ばかりは学生時代に戻ってそれぞれの「あの頃」を楽しんでいた。

ダイニングホールの宴が果てても、参加者の多くは親友たちとともにロング・ギャラリーやバーに残り、食後酒やコーヒーの杯を重ねて余韻に浸る。

こうして極上の夜は、更けていった。次に再会するとき、彼らからどのような活躍話が聞けるのだろうか。次回の同窓会は、八年後である。

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