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2010年3月24日 (水)

奨学金をとった話

ケンブリッジ大学博士課程留学中に受けていた奨学金を拠出してくれた財団法人吉田育英会主催の現役奨学生とOBの懇親会に出席した。吉田育英会は、ジッパーやアルミサッシ製造では世界的にも名が知られるYKK株式会社の創業者故吉田忠雄氏が設立した財団である。

以前のエントリーでもふれたように、たまたま訪れたケンブリッジ大学にすっかり魅せられた私は、惚れた一念で同大学大学院の博士課程に出願すると同時に、学費を捻出するために奨学金の確保に必死になっていた。

せっかく先方の大学からの入学許可が下りても、先立つものがなくては留学などできない。いくつかの奨学生の応募に落選し、最後の最後に出願したのが吉田育英会の奨学生で、もし受からなければタイムリミットという背水の陣であった。そのときの面接会場が、今回の懇親会場にもなった両国にある同社の研修施設で、当時大学のあった神戸から上京して、ずいぶん緊張しながら面接会場に入ったのを覚えている。

面接では非常に厳しい質問にもさらされて半ばあきらめていたのだが、無事授与されることが決まり、1997年10月にケンブリッジ大学の博士課程に入学した。夢が叶った、本当に幸せな瞬間だった。

振り返ってみると、この奨学金を授与されたことは、私にとって二つの意味あいがあったように思える。一つは、もちろん経済的なことを心配することなく、留学先での研究に専念できたこと。そしてもう一つは、奨学金の取り方を教えてくれたことだ。この奨学金の応募プロセスでいろいろ揉まれたことで、奨学金の出願に関して、自分なりの成功の方程式をものにすることができたと思う。事実(それ以前の失敗も含め)このときの経験がものをいって、それ以降に応募した奨学金はすべて獲得することができたのだった。

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会場となった研修センターを訪れるのは、そのとき以来(13年ぶり)で、月日のたつ速さを改めて思い知らされる。懇親会は、歴代のOBや現役の奨学生が集まり、たいへん賑やかだ。

育英会の事務局のスタッフとも面接以来初めて会った。留学中は毎年、スタッフ全員の寄せ書きの入ったクリスマスカードを留学先に送ってくれた。クリスマス休暇に帰国できずにすっかり静まりかえった大学の寮で寂しく「越冬」しているときなど、そのような配慮はとてもうれしいものだった。

現役の奨学生にも挨拶する。同期がみな社会人として独立する中で、まだ経済的に自立できないのが大学院生だ。研究生活の経済面の心配がなくなった有り難みを知り、自由にのびのびと研究生活、そして大学院生活に打ち込めるといいね、と乾杯しながら話しこむ。

私自身も久しぶりに留学出発当時のことを思い返す一晩となった。

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(吉田育英会理事長、吉田忠裕氏(YKK株式会社代表取締役社長)と一枚)

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