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2011年3月21日 (月)

プロジェクト杉田玄白:『在英米国軍人への手引き書1942』

積み残しの解消は進む。昨日に引き続き、プロジェクト杉田玄白参加作品『在英米国軍人への手引書1942(HTML)(PDF)』が完成した。

これは、第二次世界大戦中ナチス・ドイツと対峙すべく、英国に派遣された米国陸軍の軍人に向けて書かれたパンフレットである。 似たところも多いが、違うところも沢山ある米国人と英国人。双方の小さな行き違いが衝突を生み、それが両軍の士気や両国の関係にまで影響することを懸念した当局が、同盟国の国民性や彼らとのつきあい方を、兵士たちに理解させるために作成した。

オリジナルは、貧相なクオリティの7ページほどの冊子だったらしい。後年、このパンフレットを英国オクスフォード大学中央図書館(the Bodleian Library)が小さな本として出版した。その第二版が出た直後の2005年、オクスフォード大学に在外研究に来ていた際に、オクスフォードの町の中央に本店を構える老舗書店 Blackwellでたまたま見つけた。少し立ち読みしたら面白かったので、そのまま買って帰ってすぐに読み終えた。

1942年の発行当時にこのパンフレットを読んだ英国人たちは、(多少画一的なところがあるにせよ)自分たちでさえもうまく言い表せないでいたその国民性を見事にまとめたことに驚き、おおきな賞賛を送ったという。

確かにこの手引き書は、英国や英国人の国民性について平易に解説し、彼らとのつきあい方をマニュアルとして上手にまとめている。しかし、それ以上に私がこの手引き書で好きなのは、次のセンテンスにあるようなお互いに相手の立場に立って考える配慮の念だ:

「覚えておいてほしい。米国内で諸君は、諸君が振る舞うのと同じように振るまい、諸君が大切に思うことに敬意を払う人を好くだろう。英国人に対しても同じことをしよう。そして彼らが大切にしているものに敬意を払おう。」

このような米国政府の文書には著作権はつかないので、翻訳も公開も自由にできる。そこでプロジェクト杉田玄白の作品にしようと思って翻訳を始めたのだが、少し訳したところで帰国の日が近づき、日本に帰ってからは忙しくてそのまま5年近く経ってしまった。そこで勤務先の国際基督教大学の興味のありそうな学生に声をかけ、手伝ってくれた二人の学生とともに残りの部分を仕上げることになった。

翻訳は前半を私が、後半を二人の学生が担当した。翻訳途中で放置されていた訳文が完成し日の目を見たのは、ボランティアを買って出てくれた学生たちに負うところが大きい。感謝したい。

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