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2011年7月 6日 (水)

紳士倶楽部巡り

ロンドンに戻り、定宿のO&Cで昼食をとる。

O&Cのダイニングホールには、メンバー同士が食事をしながら会話を楽しむための「クラブテーブル」と呼ばれる大テーブルがある。一人で食事に訪れても、ここに座れば必ず話し相手となるメンバーがいて、手持ちぶさたになることもない。

このクラブテーブルでは、会話を促すため座るときは隣が誰であろうと必ず端から詰めて座るというルールになっている。また、クラブテーブルに座った場合のみ注文可能な定食(club table lunchon;2コース・メニューにカラフェのクラブワインがついてくる)を用意してあり、手頃な値段でワインを飲みながら1時間程度のゆったりした会話を楽しめるようになっている。

いつものように自己紹介をして、会話に加わった。その中に、他倶楽部のメンバーがいた。アイルランド、ダブリンの大学の美術史の教授とのことだ。年齢は60前後であろうか。問われるままに、平安時代から江戸時代までの日本の教育と美術の話をしていたら、気に入られたのだろうか食後に、もっと話を聞きたいので夕方に他の倶楽部を紹介するからそこで飲もう、ということになった。

こういうオファーをする相手には特徴がある。まず間違いなく独身で、家族はいない。そのため、かなり時間に余裕がある。好奇心が強く、知識も話題も多いので、興味があれば相手が畑違いの経営学者だろうと日本人だろうと気にしない。こちらも興味があったので、ありがたくオファーを受けることにした。

夕方、その教授と連れだって紳士倶楽部が建ちならぶPall Mallを歩く。着いたのは、The Travellers Clubという1819年設立の倶楽部であった。まだ海外旅行がごく少数の人々のものだった時代、海外からの賓客をもてなす場、また旅行趣味人たちの情報交換の場として設立された。

メンバーシップは、「ブリテン島の外、ロンドンから500マイル以上の距離にある4カ国以上を旅行した」ことのある人に限られている。現代ではどうということのない条件も、当時としてはなかなか高いハードルであったろう。いまほど海外旅行の情報もない時代だ。海外から帰国した会員は、荷ほどきもそこそこにクラブハウスに向かい、同好の士に終わったばかりの旅の様子を熱心に語っていたに違いない。

倶楽部の図書室は、見事なルネッサンス様式で飾られている。その中に大柄の男性が一人。教授の友人であった。しわの入ったジャケットやよれたシャツもあまり気にせずに挨拶してきて、初対面の人間にも鷹揚で人なつこい話しぶりで、まぁ飲み給え、とボトルでオーダーしていたシャンパンを振る舞ってくれる(教授によれば、香港上海銀行の創業者一族の子孫だそうだ)。

しばらくすると二人のメンバーが加わる。40代初めと思しきドイツ人たちであった。彼ら4人の共通の趣味は、美術品。今回ロンドンに滞在している理由は、サザビーズやクリスティーズをはじめとするロンドンのオークショニアで美術品を渉猟するためであるという。しばしその方面の話題を拝聴、自分と縁遠い世界をいろいろ想像する。教授も趣味と実益を兼ねて、よくダブリンからロンドンにやってくるという。なるほどね。

奇遇な縁だが、なかなか興味深いひとときであった。

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