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2016年8月30日 (火)

Bye bye Oxford

 
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留学を終え、オクスフォードを離れる。

教育学は全くの初学者だったが、高等教育は前から勉強してみたかったし、1年で修士号がとれるし、何か新しいことをやってみるのもよいかなと思って出願してみたのだが、とてもよかった。高等教育についてだけでなく、前回のケンブリッジ大学留学時以来15年ぶりにグローバル・トップの大学の最新の大学院教育を見ることが出来たことも、多くのインプットとアップデートになった。

サバティカルなので、滞在中は教育学の勉強だけではなく、同時並行で経営学の論文を1本、分担執筆で本の1章、それから共著の教科書を執筆した。カレッジのボート部やワインサークル、ユニオン・ソサエティなどでも活動できたし、大学中に知り合いが出来た。振り返ってみるとなかなか充実した滞在だったと思う。

後半の5ヶ月は、家族も合流した。皆初めての海外生活で最初の頃はいろいろと大変だったが、慣れてくるとオクスフォードでの生活を大いに楽しんでいた。まだ日本に帰りたくないし、また来たいという 笑。

オクスフォード大学の知と知性と歴史の巨大な蓄積には、目を見張るばかりであった。膨大な蔵書や電子リソースに、優れた教員と学生たちに、研究・教育の仕組みと雰囲気と歴史に。この巨大な知の伽藍とコミュニティは、数年ではとても理解したり、吸収したり、味わったりしきれない圧倒的なものだ。このような感覚を得るのも久しぶりであったし、一年とはいえ、再びそんな環境で学ぶことができたのはとても幸運なことだと思う。

下世話な話だが、このような経験にかかった学費は19,000ポンド(ざっくり学費15,000ポンド+カレッジフィー4,000ポンド)。正直言って、40台半ばの中年男がいまさら教育学の修士号を取得したとて、おそらく元は取れないだろう。では単なる自己満足、あるいは時間と金の無駄だったか?

そうかもしれない。しかし、そんなことを考えていると、『暮しの手帖』(当時は『美しい暮しの手帖』)の巻頭言を思い出す。そこには、編集長だった花森安治がこう書いている。

「これはあなたの手帖です
いろいろのことが ここには書きつけてある
この中の どれか 一つ二つは
すぐ今日 あなたの暮しに役立ち
せめて どれか もう一つか二つは
すぐには役に立たないように見えても
やがて こころの底ふかく沈んで
いつか あなたの暮しを変えてしまう
そんなふうな
これは あなたの暮しの手帖です」

読書をする、あるいは知識や教養を身につけるということは、まさしくこういうことなのだと思う。そしておそらく今回の経験も。
 
どれだけ今後のキャリアに役立つかはわからないし、結局はサンクコストになるのかもしれないが、この経験は何か今後の人生に意外な影響を与えてくれそうな気がする、そんな留学であった。
 

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